平成27年度桜花会例会
平成27年11月21日(土)午後 2 時半より、阪大吹田キャンパスの理工学図書館3階の図書館ホールにおいて、桜花会例会恒例の講演会を開催しました。本年度は下記の通り、大阪大学産学連携本部・教授 北岡康夫 様と、花王株式会社・社長 澤田道隆 様にご講演頂きました。
今年度の桜花会例会は、講演会98名、懇親会64名という多くの方々にご参加いただきました。
講演題目:「官民イノベーションファンドと今後期待される産学連携活動」
講 師:大阪大学産学連携本部・副本部長・教授 北岡 康夫 様
北岡先生は、平成3年3月大阪大学大学院電気工学専攻修士課程修了後、松下電器産業株式会社に入社されました。平成11年9月に大阪大学大学院工学研究科にて博士(工学)の学位を取得され、平成18年4月から大阪大学大学院工学研究科附属フロンティア研究センター教授として大阪大学に戻られました。その後、平成22年10月経済産業省製造産業局の産業戦略官として、学術行政に携わられ、平成26年4月に大阪大学大学院工学研究科附属高度人材育成センター教授、そして、平成27年4月に大阪大学産学連携本部副本部長となられ、現在に至っておられます。
松下電器時代は、次世代光ディスクの研究開発推進しながら、人材育成業務や企画業務にも従事されました。大阪大学では、結晶成長関連の研究を進めながら、社会人基礎力育成プログラムを全学的に展開されてきました。また、経済産業省に異動後は、ナノテクノロジー・材料分野の技術戦略の立案に関わり、新しい国家プロジェクト「未来開拓研究制度」や内閣府のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)にも参画し、所管していたファインセラミックス業界の活性化にも貢献されました。現在は、全学の産学連携活動を推進するとともに、NEDO技術戦略研究センターフェローや内閣府SIP(革新的構造材料)サブPDなどを兼任し、国の科学技術政策業務にも従事しており、一貫して、大学における研究と、企業における研究開発の橋渡しとしての重責を担ってこられました。
本講演では、(1)日本の製造業が置かれている状況(経済産業省に勤務して実感したこと) 、(2)各国の政策の比較に基づく、科学技術政策の方向性 、(3)産官学における国家プロジェクトの意義、(4)イノベーション創出に向けて(民間イノベーションファンドの活用) 、などについて持てる情報を駆使して分かりやすく解説し、大学での応用研究の進め方や、ベンチャービジネスの起業などについて助言されました。
講演題目:「こだわり」
講 師:花王株式会社・代表取締役・社長 澤田 道隆 様
澤田様は、昭和56年3月に本学工学研究科プロセス工学専攻(庄野研究室)修士課程を修了後、直ちに花王石鹸株式会社に入社されました。その後、平成11年3月に素材開発研究所室長、平成15年7月にサニタリー研究所長、平成18年6月に研究開発部門副統括・執行役員、平成19年4月にヒューマンヘルスケア研究センター長、平成20年6月に取締役・執行役員、そして、平成24年6月に代表取締役・社長執行役員に昇格され、現在に至っておられます。
今回の講演では、日本を代表する化学系トップメーカーの代表としての「こだわり」についてお話しされました。先ず、ご自身の学生時代の経験談から始まり、会社の歴史について紹介されました。その中で、会社が創業以来から持ち続けた「良きものつくりへのこだわり」についてお話しされました。そこからさらに発展して、「花王ウェイ」について紹介されました。先ず一つ目は「企業理念へのこだわり」、すなわち、正道を歩む、絶えざる革新、消費者視点を忘れない、常に現場に立脚する、などについてご自身の考えを説明され、「原点回帰」の姿勢を示されました。次に、「本質へのこだわり」について、戦い方の本質、研究の本質、消費者の本質、などの重要性を説かれました。さらに、「イノベーションへのこだわり」、「環境・エコロジーへのこだわり」、「消費者へのこだわり」、「人の可能性へのこだわり」、など次々にご自身の信念を述べられ、大企業のトップとしてのあるべき姿を示されました。講演には学生諸君も多数出席し、自身の将来を考えて行く上で、大きな力を得たものと思われます。
講演会後の午後 5 時より、高層棟(U1E)15 階のラ・シェーナにて懇親会を開 きました。安藤孝夫同窓会会長(S50 卒)のご挨拶、続く園田昇先生(S31 卒) の乾杯のご発声の後、おいしい料理とお酒とともに楽しいひとときを過ごしました。時間の都合上、講演会では参加者からの質問を十分にお受けすることができませんでしたが、懇親会場では講師のお二方とも様々な質問に懇切丁寧にお答えくださいました。最後に、平島隆行様(サントリーホールディングス株式会社執行役員)と小松満男様(桜花会連絡幹事)からご挨拶を頂き、閉会しました。来年も多くの皆様のご参加をお願いいたします。