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会長挨拶


同窓会会長 安藤 孝夫

 新年明けましておめでとうございます。 皆様には、令和4年の新春を、晴れやかにお迎えのことと、心からお慶び申し上げます。令和4年度の大阪大学工学部・工学研究科化学系同窓会 [会報54号] の発行にあたり、ご挨拶申し上げます。 旧年中は、本会の活動に対し格別のご理解とご協力を賜り、誠に有難うございました。 本年も会員の皆様のご支援ご協力を頂きながら、会員相互の繋がりをさらに強化し、活発な同窓会にできればと考えています。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 昨年も新型コロナウイルスの感染拡大により、私たちの暮らしから経済活動まで、これまでの日常の活動は大きく制約を受け、厳しい状況が続き、デルタ株の約4倍の感染力を持つと言われているオミクロン変異株の感染拡大も依然懸念されます。 しかし、一人ひとりが感染予防対策に努力され、そして国や自治体を挙げてのワクチン接種が進められてきた中で、感染状況が大きく改善したことに対し、ご尽力されてきた皆様に心から感謝を申し上げたいと思います。

  さて、新型コロナウイルスの感染拡大に加えて、人類の持続可能性を脅かす地球規模の危機である気候変動問題は人類が直面する課題でありますが、その解決のため には、自然科学と社会科学が生み出す「総合知」をベースに、複雑に分野、技術が絡み合った科学の総動員が求められます。 実際に科学技術を社会に提供して社会を変え ていくのは産業界であり、アカデミアによる知の源泉の深耕はもちろん必要ですが、一歩踏み出すべきは中長期的な視点で産業界とアカデミアが同じベクトルで向き合う産 学連携が重要であります。

 日本の化学は世界をリードし、日本の化学企業は高い付加価値を創出する産業であり、地球環境問題においても、化学・化学技術が先導役となり解決に繋げていくこと は、社会からの期待が大きいと思います。 サイエンスにおける学術の役割は基本的に真理の探究ですが、化学にはイノベーションに直結する要素があり、アカデミアはもっと社会実装を意識すべきと考えます。

 また、地球環境は大きなテーマですが、すべての対策の根本は、私たち一人ひとりの考え方と行動から始まります。  これまで幾度となく使われてきたことば「地球規模で考え、地域で行動する(Think globally, Act locally.)」を今一度噛みしめ、行動につなげなければならないと思います。

 世界経済は、コロナ禍、米中貿易摩擦等の影響が全世界に波及することが危惧されるなど、不透明感が高まっています。化学業界におきましては、原油価格は不安定となり、事業環境は予断を許さない状況にあります。 そのような中、企業は柔軟で多様な働き方の実現や、労働生産性の向上を行い、デフレマインドから脱却して積極経営を進め、設備投資や研究開発投資を活発化して、新たな成長機会の創出に取り組んで行かねばならないと思います。

 現場において、一人ひとりの創意工夫によってイノベーションを生み出す力こそが日本の強みであります。 これから更なる激動の時代を迎えますが、私たちの出身である化学系教室には、主体性や説明能力の向上に資する授業への改革を行うとともに、世界をリードする独創的な研究により我が国の科学技術の発展に寄与しながら、独創性に富み、グローバルな視点とリーダーシップを持つ多様で質の高い人材を育成し社会に送り出し、今後とも一層我が国の産業の発展に寄与して頂くことを期待しています。

 また、産業界も、企業が求める人材像を大学と共有し、学生の皆様に伝え、働くことの意義や企業活動の実態を肌で感じてもらうために、早い年次での長期インターンシップに積極的に取り組み、大学と実社会の間に依然として大きく存在するギャップを少しでも解消し、学生の皆さんが自身の将来に関心、自信を抱くことが出来るようにしていければと思います。

 激動する時代の流れを掴み、優れた研究成果を創出し、社会に貢献しつづけるためには、スムーズな産官学連携が益々重要になってきますので、同窓会には、その本懐である会員相互の親睦はもとより、産学官連携の潤滑油としてより活発な活動が期待されます。 本会会員の皆様には、これまで以上に積極的に本同窓会行事へ参加して頂 き、そして、参加の際には、同期生同士の声かけを密にし、幅広い企業で活躍される卒業生の参加を促すとともに、各卒業年度のクラス会機能を活性化していくなど、私たちが出来るところから一歩ずつ進めていただきたいと思っています。

 末筆ではございますが、会員の皆様の益々のご支援、ご指導を賜りますようお願い申し上げるとともに、皆様のご健勝と一層のご活躍を祈念しまして、私のご挨拶とさせていただきます。

以上