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会長挨拶


同窓会会長 安藤 孝夫

 新年明けましておめでとうございます。令和2年度の大阪大学工学部・工学研究科化学系同窓会 [会報52号] の発行にあたり、ご挨拶申し上げます。旧年中は本会の活動に対し、格別のご理解とご協力を賜り、誠に有難うございました。本年も会員の皆様のご支援ご協力を頂きながら、会員相互の繋がりをさらに強化し、活発な同窓会にできればと考えています。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 昨年を振り返ってみますと、平成が幕を閉じ、令和になり、日本が新たな時代へと継続性を保ちながらひそやかに移行する、そんな年でした。今の日本社会にみられるある種の安定性は、明らかに内政の混乱期に突入している欧州や米国などの先進諸国に比べて、まさしく「変わらない日本」だと思います。そのような中、安倍総理大臣の在任期間が通算で憲政史上最長となりました。少しずつしか変化が起きない日本には苛立ちを感じるものの、それが大きな分断や動乱を回避してきたとも言えます。

 また、昨年は台風による大水害などがありましたが、ゴルフ・渋野日向子選手が全英女子オープン優勝、ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会が開催され、日本代表は予選リーグ4戦全勝で初の8強入りを果たす快挙を成し遂げ、旭化成の吉野彰博士がリチウムイオン電池の開発によりノーベル化学賞を受賞されるなど明るいこともありました。

 さて、米中両国は貿易交渉において、中国による米国製品の大量購入(今後2年で輸入を計2000億ドル(約22兆円)増)を柱とする「第1段階の合意」に至りましたが、内需の伸びが鈍る中国にはハードルが高く、未達なら関税再発動のリスクもあり、米中間での貿易戦争の先行きはまだ予断を許しません。米国の保護主義的な動きが世界経済・日本経済に与える悪影響等が懸念されます。

 一方、政府の見通しでは、わが国経済は今年度も個人消費や設備投資といった国内需要が日本経済をけん引し、民間の支出もあわせて事業規模26兆円にのぼる経済対策の効果も出て、内需が成長率を1.5ポイント押し上げると見込まれています。今年度の輸出については前年度比2.4%増とし、米中貿易摩擦の影響を受けた昨年度(1.2%減)からは上向くものの、回復のテンポは緩やかと見込まれています。

 しかし、世界経済は米中貿易摩擦の影響が世界経済に波及することが危惧されるなど、不透明感が高まっています。化学業界におきましては、原料価格は中東情勢の緊迫化や世界経済の減速懸念などにより不安定となり、事業環境は予断を許さない状況にあります。

 そのような中、昨年11月、通算で憲政史上最長の政権となり長期安定政権としてあらためてスタートした安倍政権には、おごることなく、謙虚に、我が国周辺を取り巻く国際情勢が更に厳しくなる中、あらゆる面での対応が出来るよう万全の体制を整えて頂くとともに、経済最優先で経済政策のさらなる一層強力な推進を期待したいと思います。一方、企業自身も柔軟で多様な働き方の実現や労働生産性の向上を行い、デフレマインドから脱却して積極経営を進め、設備投資や研究開発投資を活発化して、新たな成長機会の創出に取り組んで行かねばならないと思います。

 我が国をめぐる環境は、急激な少子高齢化による生産年齢人口の減少、海外企業との競争激化、AIやIoT(Internet of Things)の発展による社会・産業構造の変化などにより、急激に変化しています。このような人口減少、少子高齢化、資源・エネルギー、環境問題など、直面する社会課題の解決や、AIやIoT、5G、ビッグデータ、自動運転等の分野が成長機会になると考えられ、そのためには化学が欠かせませんし、化学素材で今後更なる差別化が期待できます。化学産業はもっと自信を持たなければならないと思います。

 現場において、一人ひとりの創意工夫によってイノベーションを生み出す力こそが日本の強みであります。これから更なる激動の時代を迎えますが、私たちの出身である化学系教室には、主体性や説明能力の向上に資する授業への改革を行うとともに、世界をリードする独創的な研究により我が国の科学技術の発展に寄与しながら、独創性に富み、グローバルな視点とリーダ-シップを持つ多様で質の高い人材を育成し社会に送り出し、今後とも一層我が国の産業の発展に寄与して頂くことを期待しています。

 また産業界も企業が求める人材像を大学と共有し、学生の皆様に伝え、働くことの意義や企業活動の実態を肌で感じてもらうために早い年次での長期インターシップに積極的に取り組み、大学と実社会の間に依然として大きく存在するギャップを少しでも解消し、学生の皆さんが自身の将来に関心、自信を抱くことが出来るようにしていければと思います。

 激動する時代の流れを掴み、優れた研究成果を創出し、社会に貢献しつづけるためにはスムーズな産官学連携が益々重要になってきますので、同窓会にはその本懐である会員相互の親睦はもとより、産学官連携の潤滑油としてより活発な活動が期待されます。本会会員の皆さまにはこれまで以上に積極的に本同窓会行事へ参加して頂き、そして、参加の際には同期生同士の声かけを密にし、幅広い企業で活躍される卒業生の参加を促していただくとともに、各卒業年度のクラス会機能を活性化していただくなど、私たちが出来るところから一歩ずつ進めていただければと思っています。

 末筆ではございますが、会員の皆様の益々のご支援、ご指導を賜りますようお願い申し上げるとともに、皆様のご健勝と一層のご活躍を祈念しまして、私のご挨拶とさせていただきます。

以上